先日の
「SIPAの特徴は何ですか?」というエントリーの続きです。
私個人宛にコメントを頂いた中で、
「昨日「コロンビアのSPIAは学位を乱発している大学院だ」ということを言われました。で、ちょっと探すとそういうことを記したSIPAを最近卒業された日本の方のブログも存在しました。他大学の先輩に羨まれたとか。教授自身が、学びはここではなく学外にあるとのたまったとか。セメスター中に異常な単位数を取得できたとか。大学によって本当にそこまで違うものなのでしょうか?」という主旨の質問を頂いたので、お答えします。
先日も申し上げましたが、僕はSIPAではありません。SIPAの授業をいくつか受講しているだけです。このことをご考慮の上で以下の文をご覧ください。
まず、
学位を乱発しているかどうかは、知りません。1学年、学生が400名くらいいると聞いたことがあるので、確かに少数精鋭ではないかと思います。
でも、乱発しているってことはないと思いますよ。そもそも乱発とはどういった状態を指すのでしょうか?簡単にいい成績がとれるということでしょうか?
SIPAに関して言えば、少なくともコア科目(か、人数が30人以上の授業か忘れましたが)、に関して言えば、みんながいい成績をとれるわけではないです。
というのも相対評価だからです。クラスの上位○○%しか、Aがとれないのです。
それならば、相対評価で簡単にAがとれるほど、周りの学生の出来が悪いかというと、そうではありません。
というのも、日本では開発分野ではそれなりの成果を残しているイデアス(
就職実績はこちら)からでも、SIPAの入学試験に落ちる人は結構いますので、誰でも入学できるというわけではないかと思います、あくまでも勝手な推測ですが。
ちなみに、ウェブ上で、「SIPA」「学位乱発」「ブログ」で検索して、でてきた方のブログを拝見しましたが、イギリスの大学院とSIPAの課題の量を単純に比較しているように見えます(恐らくそのエントリーの趣旨は、派遣元の仕事(量)と比べて大学院の勉強が大変ということはない、ということだと思います)。
しかし、イギリスの大学院で学期末に課せられる2万字のエッセイと、アメリカの院で学期末で課せられる2千字のエッセイとでは、
コンテキストが全く異なります。なぜかというと、イギリスに留学した友人から聞く範囲だと、政策系や開発系のイギリスの院では毎日の授業ではあまり課題は課せられないからです。また、授業も週一回と聞きました。(間違っていたら教えてください。)
一方、アメリカの院では、必須科目では課題が毎週ありますし、選択科目でも最低でも中間試験か中間ペーパーが課せられます。1つの課題で成績を評価する授業は少数です。
ひょっとすると、一度学んだことのある科目や仕事で関わっていた分野の授業だと簡単に感じることはあるかもしれません。
それはある意味当然です。基礎からやるからです。
もしそうならば、むしろ自分が知っている内容を扱う授業をわざわざ履修しなくてもいいかと思います。単位交換がSIPAでできるか存じ上げていませんが、統計学など履修したことがあれば単位交換をして履修しないという交渉をすることもできるかもしれません。
留学の目的は何なのでしょうか?一度学んだことのある内容を、英語で学ぶだけなら、その効果は少ないかと思います。
今まで日本にいるだけなら触れることのない最先端の内容を学ぶことができる、それが留学する意義なのではないでしょうか?
もしも、SIPAの授業のレベルで物足りないのであれば、
博士課程の授業を履修すればいいかと思います。SIPAのある、コロンビアは博士課程でも、実証研究が盛んですので、政策よりの授業もあるかと思います。
多分、選択科目であれば制限が少ないので可能だと思います(勝手な推測です)
「本当の学びは学内ではなく学外にある」といった教授がいたそうですが、学外で学ぶのを大切にしろ、ということを言いたかったのではないでしょうか?
なぜなら、政策は机上の空論ではないので、学内で学んだ理論を現実と照らし合わせて、それが何を意味するのか自分の頭で考えてみろ、ということが言いたかったのでしょう。
インターンをしながら在籍してもいいでしょう。実際、インターンなどをしながら院の授業をこなすのは相当大変です。
インターンでなくても、
本を出版するとか、論文を公刊すればいいと思います。
いやいや、そんなの博士課程の人がやることで、マスターはしないよ、と思われる方がひょっとするといるかもしれませんが、
修士でもアメリカ人やインド人の優秀な人は、バンバンやっています。言われたことをそのままやっていればそれなりにいい成績はとれるかと思いますが、それでは単なる受験勉強の延長ですので、自分で考え、自分のスキルセットをみにつけていくことが大切かと思います。
結論は、不安な気持ちは分からなくもないですが、
根拠も定かではないマイナス面が気になるのであれば、
SIPAへの入学を考え直した方がいいかと思います。
自分の頭で考え、そして行動していける、自分の道を自ら切り開いていける、そんなイニシアティブのとれる人間が真なる評価を受けるところが、プロフェッショナルスクールだと思います。